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「栄養士」「管理栄養士」は、男性も活躍できる職業なのか?

「栄養士」と聞くと、女性の活躍に注目を集めることが多く、男性の栄養士の存在は影が薄い印象があるかもしれません。実際にどうなのか調べてみると、栄養士の資格取得者に関する性別を調査した統計は見当たりませんが、厚生労働省が実施している栄養士の賃金調査などを見る限り、栄養士の労働者数は圧倒的に女性が多いことがわかります。その一方では、男性栄養士を歓迎している求人もあり、性別に関係なく活躍できそうな職場も見受けられました。今回は、普段フォーカスされることが少ない男性の栄養士について、実態が分からずに疑問を持っている方も多いようなので、仕事で求められることや、どのように活躍できるのかなどを記事で取り上げてみたいと思います。

男性栄養士の賃金は低いのか?

栄養士に関する賃金の調査は、厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」の統計を見ると状況が把握できます。同調査によると、男性栄養士の月収の平均が242,300円で賞与が494,300円に対し、女性栄養士の月収の平均が228,400万円で賞与が約602,600万円であることが分かりました。この内容を見る限り、月給は男性のほうが13,900円高く、賞与は女性のほうが108,300円ほど多くもらっていますので、年収にすると男性が3,401,900円に対して女性が3,343,400円となり、性別による賃金の大差はなく、むしろ男性のほうが平均年収は若干高い計算になりました。また、栄養士の賃金は「全体の賃金の水準から低いイメージがあり、将来がやや不安」といった男性の意見も見かけましたので、同調査の全産業(調査対象となった全職業)の平均の比較も紹介しておきたいと思います。
全産業の平均月収が268,300円で賞与が540,100円となりますので、男性栄養士の賃金と比較してみると、月収にして-26,000円、賞与は-45,800円、年収は-357,800円となり、それぞれ下回っていることが分かりました。
しかし、男性栄養士の賃金水準は決して高いほうではありませんが、平均月収は比較的に他の職業に比べて近い数字であることや、全産業の月収の平均年齢は44.5歳の収入となるので、こうした点を踏まえると、そこまで見通しが悪いとは言えない状況だと考えられます。いずれにしても、あくまで平均的な数字なので参考程度に見ておきましょう。

栄養士の賃金に関する男女の違い
栄養士(男性) 33.0(平均年齢)、6.9(勤続年数)、242.3(所定内給与額)、494.3(年間賞与等)
栄養士(女性) 36.90(平均年齢)、7.2(勤続年数)、228.4(所定内給与額)、602.6(年間賞与等)
全産業(男女) 44.5(平均年齢)、10.9(勤続年数)、268.3(所定内給与額)、540.1(年間賞与等)

出典:厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」
※上記の平均月給は、企業規模計(10~99人)となります。
※上記の単位は千円となります。
※上記の平均月給は、「所定内給与額」で比較しています。

勤務先によって残業代などが付けば収入を上げることも可能?

病院や老人ホームなどの職場では、24時間体制で稼働しているところもあり、更に勤務体系も「早番」「昼番」「遅番」の3交代のような場合があります。独身でバリバリ働ける方であれば、残業代、夜勤手当などで給料にも加算される場合があるので、体力勝負にはなりますが、労働した分の収入を得ることも出来るでしょう。しかし、24時間体制で稼働している施設になると、土日祝日、年末年始などは関係なく仕事することになるので、休日などに働くことは覚悟しなければなりません。

結婚して家庭を持ったらどのように働くべきか?

結婚して家庭を持つようになれば、特に24時間体制で稼働している職場で働き続けるような場合には、経済的な面は良くても、勤務時間の関係から奥さんや子供に会えなくなるといった課題が出てくることでしょう。こうした場合の選択肢は、必ずしも希望通りに働けるとは限りませんが、シフトの変更を会社に相談してみるか、収入が減ったとしても転職を考えなければなりません。やはり男性栄養士として、長く続けることは難しいそうだ…そう感じた方もいらっしゃることでしょう。しかし、そんなことはありません。

男性栄養士だけで妻子を養っていけるのか?

では、どうやって男性栄養士として働き、妻子を養っていけば良いのでしょうか。
その答えとしては、できれば結婚するまでに、例えば、栄養士であれば管理栄養士の資格を取得することや、管理栄養士であれば日本糖尿病療養指導士、介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格などを所得しておくことが方法の1つとして挙げられます。転職する際にも、こうした資格があると優遇されることが多いので、早い段階からキャリアアップを視野に入れて仕事していくことが考えておきましょう。もちろん、人脈、知識、経験などがあれば、会社に勤めるだけでなく、例えば、食品関係の会社で栄養指導や商品開発に携わったり、全国各地で栄養に関する講演会に講師として参加したり、文章力があれば栄養に関する執筆や書籍を発行したりする道もあり、フリーランスや個人事業主として活躍することもできます。最近は、政府の「働き方改革」が推進している影響もあって、事業者と雇用契約を結び、在宅勤務を許可するような「テレワーク」といった働き方もできるようになってきましたので、栄養士の仕事も選択肢は広がってきています。加えて、今後は、現代の日本が抱える高齢化や生活習慣病なども深刻な課題となっていますので、食生活の改善や栄養指導など、栄養士の仕事は益々需要が高まっていくことになるでしょう。

男性栄養士はどこで評価される?

全体的に、女性の場合は結婚や子育てなどで退職することが多い傾向にありますので、長期で働ける男性栄養士は歓迎されます。また、栄養士の職場や所属部署には女性が多いため、女性特有の人間関係の難しさもあり、男性がマネジメントすることで円滑に業務を進めるなど、管理職候補として採用する場合があるようです。そして、会議などの意見交換の場面では、男性の決断力や論理的且つ合理的な意見が必要とされるケースも多々あります。このほかにも、調理業務を行う職場であれば、重たい調理器具や大量の食材を扱う場合、力仕事が要求されるので、こうした業務に対しても評価が得られるでしょう。

これから男性栄養士を目指す方の栄養士養成施設

最近は、栄養士を目指す男性もいることから、卒業後に栄養士の資格を取得することができる栄養士養成施設が増えてきました。ここでは、男子が通える全国の栄養士養成施設を紹介します。

男子が通える全国の栄養士養成施設
北海道 ・天使大学
・酪農学園大学
・北海道文教大学
・名寄市立大学
青森 ・青森県立保健大学
岩手 ・盛岡大学
山形 ・山形県立米沢栄養大学
宮城 ・尚絅学院大学
・東北生活文化大学
茨城 ・茨城キリスト教大学
・常磐大学
・つくば国際大学
群馬 ・高崎健康福祉大学
・桐生大学
・東洋大学
埼玉 ・城西大学
・人間総合科学大学
千葉 ・千葉県立保健医療大学
・淑徳大学
神奈川 ・関東学院大学
・神奈川県立保健福祉大学
・文教大学
・神奈川工科大学
山梨 ・山梨学院大学
東京 ・東京医療保健大学
・東京聖栄大学
・東京農業大学
・神帝京平成大学
・二葉栄養専門学校
・東京栄養食糧専門学校
・華学園栄養専門学校
新潟 ・新潟医療福祉大学
・新潟県立大学
・北里大学保健衛生専門学校
・北陸食育フードカレッジ
福井 ・仁愛大学
静岡 ・静岡県立大学
・浜松大学
長野 ・松本大学
愛知 ・名古屋経済大学
・至学館大学
・名古屋学芸大学
・愛知学泉大学
・名古屋文理大学
・東海学園大学
・修文大学
・愛知学院大学
・中部大学
岐阜 ・東海学院大学
三重 ・鈴鹿医療科学大学
滋賀 ・滋賀県立大学
・龍谷大学
大阪 ・大阪青山大学
・大阪市立大学
・大阪府立大学
・関西福祉科学大学
・羽衣国際大学
・大手前栄養学院専門学校
・相愛大学
・帝塚山学院大学
京都 ・京都府立大学
・京都栄養医療専門学校
奈良 ・近畿大学
・畿央大学
・帝塚山大学
兵庫 ・神戸学院大学
・甲子園大学
・兵庫大学
・兵庫県立大学
岡山 ・岡山県立大学
・川崎医療福祉大学
・美作大学
・中国学園大学
・岡山学院大学
・くらしき作陽大学
広島 ・県立広島大学
・福山大学
・広島国際大学
・比治山大学
山口 ・山口県立大学
・東亜大学
徳島 ・徳島大学
・徳島文理大学
・四国大学
高知 ・高知県立大学
福岡 ・九州栄養福祉大学
・中村学園大学
佐賀 ・西九州大学
長崎 ・長崎県立大学
・長崎国際大学
熊本 ・熊本県立大学
大分 ・別府大学
宮崎 ・南九州大学

男性管理栄養士のメリット・デメリットは?

男性栄養士のメリットやデメリットは、職場や栄養士として何を目指すのかによっても変わってきますので、一部の職場の特性などから判定するには偏りがあります。仮にキャリアアップが目標なのであれば、男性栄養士の管理職候補として採用されると、賃金の見通しも含めた栄養士としての将来性は期待できることになるので、そうした意味ではメリットは高まることになるでしょう。また、逆にデメリットとしては、やや偏った見方になりますが、女性が多い職場で人間関係が難しかったり、男性だからと力仕事ばかり要求されたり、そもそも栄養士は男女ともに求人数が多い訳ではないので、就職における競争率が高い傾向にあることが例として挙げられます。メリットやデメリットに当てはめるとこのような考え方になりがちですが、男性栄養士として何を目指し、どのような仕事をしてキャリアを積んでいきたいのか、そうした点から自身が進むべき道を決めたほうが希望に近づくはずです。

まとめ
栄養士、管理栄養士は、男性も活躍できる魅力的な仕事です。
しかし、現在は、厚生労働省の調査(平成29年度現在)の累計によると、栄養士が約1,079,322人、管理栄養士が約234,196人もの方が免許を取得していることが明らかになっており、年々免許の取得者数も増えていることが分かります。
そうした状況の中では、栄養士の採用枠も全体的に少ないため、人気のある企業などの就職はどうしても競争率が高くなる傾向にあるのです。男性に限ったことではありませんが、栄養士、管理栄養士として活躍していくためには、今後は益々栄養士として専門性を高めることが求められるようになるでしょう。