
管理栄養士国家試験の合格率は近年およそ60%前後で推移しており、やや難しくなってきている試験です。ほかの医療系国家資格と比べても、試験範囲の広さや受験制度に特徴があるのが理由といえるでしょう。
この記事では、管理栄養士国家試験の難易度をわかりやすく解説します。受験に向けた準備のポイントから、資格取得後のメリットまで紹介しますので、管理栄養士を目指す方の不安解消にぜひ役立ててくださいね。
管理栄養士国家試験の難易度を知るためには、まず合格率の推移を確認することが大切です。合格率は年度ごとに変動しますが、全体の受験者数や合格率、新卒者・既卒者の区分で比較すると傾向がよくわかるからです。
厚生労働省のデータによると、近年の合格率は50%前後で推移しています。2025年3月に実施された試験(第39回)では16,169人が受験し、7,778人が合格。全体の合格率は48.1%でした。
内訳を見ると、新卒者と既卒者で大きな差があります。新卒者の合格率は80.1%と高水準ですが、既卒者は11%前後にとどまっています。卒業から時間が経ち知識を忘れてしまったり、仕事と勉強の両立が難しかったりすることが要因です。学校のサポートがない中で独学を続けるのは効率が落ちやすいといえるでしょう。
管理栄養士国家試験は、他の医療系国家資格と比べても合格率が低く、難易度が高い試験です。
たとえば「医師国家試験」や「看護師国家試験」の合格率は90%前後と高く、既卒者でも30〜70%程度の合格率があります。一方、管理栄養士国家試験は全体で50%前後、既卒者では約11%にまで下がります。
理由のひとつは、出題範囲が非常に広いことです。人体の構造や疾病、応用栄養学、給食経営管理論など9科目すべての知識が問われるうえ、単なる暗記だけではなく、複数の知識を組み合わせた応用力も必要とされます。そのため、準備不足では突破が難しい試験といえるでしょう。
管理栄養士の資格について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『管理栄養士の資格は社会人でも取れる?取り方・難易度・学習方法を徹底解説!』
管理栄養士国家試験を受験するには、指定の養成施設を卒業し、場合によっては実務経験を積む必要があります。実務経験の有無は「管理栄養士養成施設」か「栄養士養成施設」かによって異なります。
管理栄養士養成施設(4年制大学や専門学校)を卒業した場合は、臨地実習がカリキュラムに組まれているため、卒業と同時に受験資格を得られます。
一方、栄養士養成施設(2年制または3年制の短大・専門学校など)を卒業した場合は、卒業後に実務経験が必要です。修業年数に応じて必要な実務経験は以下の通りです。
• 2年制を卒業:3年間の実務経験
• 3年制を卒業:2年間の実務経験
• 4年制を卒業:1年間の実務経験
試験は毎年3月に行われ、受験申し込みは前年の11月~12月の約1ヵ月間です。2026年は3月1日(日)に実施予定で、合格発表は3月27日(金)に厚生労働省のホームページなどで公開されます。
試験は午前と午後に分かれて行われ、9科目と応用力試験が出題されます。
▼午前(10:00~12:25/2時間25分)
社会・環境と健康:16問
人体の構造と機能及び疾病の成り立ち:26問
食べ物と健康:25問
基礎栄養学:14問
応用栄養学:16問
▼午後(13:40~16:20/2時間40分)
栄養教育論:13問
臨床栄養学:26問
公衆栄養学:16問
給食経営管理論:18問
応用試験:30問
合格するには 200点満点中120点以上(全体の60%以上) 正答する必要があります。試験概要は表でも整理していますので、ご覧ください。


管理栄養士の受験資格について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
『管理栄養士国家試験の受験資格とは?ルート・難易度・流れを完全ガイド』
管理栄養士国家試験に合格するには、計画的に学習を進めることが欠かせません。
学生の方は、大学や専門学校が行っている国家試験対策サポートを積極的に活用しましょう。授業で得た知識を定着させるためには、模試や過去問を繰り返し解くことが効果的です。模試は現在の実力を把握できるだけでなく、時間配分の練習や苦手科目の発見にもつながります。間違えた問題は放置せず、復習を通して理解を深めることが大切ですね。
一方、既卒者や社会人の場合は、仕事や家庭と両立しながら効率的に学ぶ工夫が必要です。通勤や休憩といったスキマ時間を活用する、週末に集中して学習するなど、自分に合ったスケジュールを立てるとよいでしょう。
また、模試や過去問だけでは不安な場合には、予備校や通信講座を利用するのも一つの方法です。体系的に学べる環境を取り入れることで、効率よく実力を伸ばすことができます。
管理栄養士の資格を取得すると、多くのメリットがあります。まず国家資格であることから社会的な信頼性が高く、病院や福祉施設といった専門性の高い職場への就職や転職で有利になります。
さらに、栄養士と比べて責任ある役割を任されることが多く、給与水準も高めです。マネージャーやチームリーダーなど管理職へのキャリアパスを目指せるほか、専門性を深めてキャリアアップにつなげられる点も大きな魅力といえますね。