就職活動をする際、必ず作成する履歴書ですが、特に志望動機の欄には何を書くべきか迷う方も多いことでしょう。この志望動機ですが、「なぜその企業で働きたいと思っているのか」を冷静に自問自答してみると、本音であるか建前かは別として、書くべき内容が少しずつ浮かんでくるのではないでしょうか?その思い浮かんだ内容に「説得力」を持たせることが志望動機を書くうえで非常に重要なポイントになるのですが、良くも悪くも書き方1つで応募先の企業に与える印象が大きく変わります。今回の記事では、調理師として就職を希望されている方に向けて、就職活動で役立つ履歴書の志望動機の書き方のテクニックを紹介していきます。
調理師は、資格がなくても調理の業務をすることは可能ですが、一般的には調理師免許を取得していれば、飲食サービス業をはじめ、病院や学校などの給食施設など、さまざまな職場で働く機会が見つけられることでしょう。中でも、飲食サービス業については、入職率が約33.5%と産業全体の中でも高い傾向にあり、その反面では離職率が30%と高いことも特徴です(入職率・離職率は厚生労働省「雇用動向調査結果の概況 平成29年度」を参考)。また、現在の調理師免許の交付数を調べてみると、厚生労働省の「衛生行政報告例」では平成29年度は調理師免許交付数が32,477人(現時点で最新の統計)、累計では3,817,774人(※統計は昭和34年から開始)もの人が調理師免許を取得していることがわかりました。調理師免許交付数の推移は、年度によって前後していますが、平成25年以降は3,200~3,800人ほどです。
こうした統計データも参考にしながら調理師の方の就活を考えてみると、食を扱う職業は様々な可能性と受け入れ先がある魅力的な職業である一方、調理師に限りませんが飲食サービス業ではミスマッチなどで離職する方も多いのが現状のようで、やはり履歴書の志望動機の話にも繋がりますが「なぜその企業で働きたいと思っているのか」をしっかりと考える必要があると言えそうです。
少し前置きが長くなりましたが、前述したことを踏まえ、志望動機を書く際には、具体的にどのようなことを書くべきなのでしょうか。ここでは、更に一歩踏み込んで、ポイントを3つに分けて、説明していきましょう。
調理師として働く場合、飲食店と一口に言っても、フレンチ、イタリアン、和食、中華などのジャンルもあれば、ホテル、料亭、ファミリーレストランといった業態の違いもあり、
応募企業には様々な会社があることでしょう。こうした飲食業の仕事などに応募する場合、食のジャンルや業態によっても、書くべき内容が変わってきます。
例えば、「食の安全性に対する危機管理の取り組みに共感した」などの漠然とした内容が志望動機に書かれていると、採用する側からしてみれば「飲食業界であれればどこも食の安全性に力を入れていることなので、うちでなくても良いのでは?」と受け取られる可能性が出てきます。
そこで、「自身がお店を利用したことがあり、他の飲食店にはないような調理法やメニューに感動を覚え、自分が理想とする味だった」などと書くことにより、なぜそこで働きたいのかしっかりと伝えることが必用になるのです。
採用担当者は、貴方が持っている知識や経験などが応募先の会社でどのように活かせるのかアピールすることは極めて重要です。志望動機には、貴方の知識や経験が「どう活かせるのか」を具体的に盛り込めないか考えてみましょう。
例えば、外国人の来店が多い店では「英会話ができるので、お客様に料理の説明ができる」や、和食の店で「ふぐ調理師免許も持っているので、ふぐを扱う場合は即戦力として働ける」などが書くと効果です。
採用する企業からしてみると、志が高い人を採用すれば、応募先の会社の発展に貢献したり、周囲のスタッフにも良い影響を与えたりするかもしれないと考えるものです。例えば、業界で有名なシェフがいるような飲食店であれば、シェフの味や技術を継承できるようになりたいといったことに留まらず、「姉妹店など多店舗展開する際には、そのお店で料理長になることを目標にしたい」といったことを盛り込ます。あまり行き過ぎたことまで書くべきではありませんが、自身のためではなく、応募先の会社に貢献することが前提に書かれた内容であれば、採用担当者の期待を高めることも出来るでしょう。
志望動機を書く時に、特に注意したいことは「自分本位な理由を書かないこと」が鉄則です。そのような印象も持たせる説明は、基本的にNGなので注意しましょう。例えば、社会経験が少ない方に多いようですが、「社員教育に力を入れていることに共感し、自身もしっかりとサービスについて学びたいと思いました」などと書かれている場合があります。
学生であれば良いのですが、ほとんどの会社は学んでもらうために給料を支払う訳ではなく、サービスレベルなどを向上させるために人材教育に力を入れているケースが多いはずなので、会社の利益がなんであるかを考えず、自分本位な受け取り方で志望動機を書いてしまうと大きな失敗に繋がります。他にも、「給料が高いから」や「自宅から会社まで近いので通いやすい」などが中心に志望動機が書かれていると、給料が高いだけなら他にも会社はあるでしょうし、自宅から会社が近ければどんな仕事でも良いのかと思われ、良い印象を与えることはないでしょう。
ここでは、調理師が活躍できる職場について、業態別にお手本にしたい志望動機の例文を3つほど紹介してみたいと思います。以下の例文を参考にしながら、自身の経験や目標、志望する理由に置き換えて、自分の言葉で書くように心がけてみましょう。
調理を行う職場では、調理師免許の資格や経験がないと、必ず仕事ができない訳ではありません。飲食店の場合には、「食品衛生責任者」の資格者がおり、保健所から発行される「営業許可証」を受ければ営業が開始できます。言い方を変えれば、調理人として一定の技能と知識を持っていれば、働くうえで有利な条件を提示することになります。そうした技能や知識は、資格までは取得してないから書けないと諦めず、例えばパートでの調理経験や、何か食に関係する特定の知識をもっていることがあれば、志望動機で積極的に伝えるようにしていきましょう。