管理栄養士の資格を目指すとともに、栄養指導などの事務職をしながら、「土日・祝日はしっかりと休みを取りたい!」と考える方もいることでしょう。今回は、そんな疑問にお答えすべく、管理栄養士の休暇にスポットを当て、土日・祝日などがしっかり休みが取れる職場や、他の職業と比べて有給休暇が取りやすいかなど、記事で取り上げてみたいと思います。
休暇に対する考え方は、労働基準法の関係がありますので、基本的にはどこの職場でも多少の幅はあっても大差はなく、雇用形態や勤続年数などによって、有給休暇の取得状況は変わり、総じて年間の休日に違いが出ることになるでしょう。
例えば、正社員であれば、労働基準法の最低ラインが105日となりますので、ほとんどは年間の休日日数を105~120日前後で設定している場合が多く、この休暇の中には特別休暇や有給休暇も含まれます。また、非常勤などの契約社員でも、正社員と同等の休暇を与え、基本的には105~120日ぐらいの休日日数が設定されています。ほかには、派遣社員の場合を例に挙げてみると、派遣会社と労働契約を交わすことになりますので雇用主と使用者が異なりますが、適正な労働環境で派遣スタッフを就業させなければならないため、休暇についても配慮されており、他の正社員などと同様の105~120日程度の休日日数が付与されるのが一般的でしょう。更に、アルバイトやパートの場合では、いわゆる短時間労働が基本となるため、雇用契約の段階で、土日・祝日に限らず、会社側と出勤日を話し合って決めることになります。ちなみに、アルバイトやパートも有給休暇は付与されますが、働き始めた日から6カ月後となり、6カ月間継続して8割以上の日程を勤務していることが条件です。
管理栄養士の休日のスケジュールは、職場によっても大きく変わってきます。
主には定時とシフト制の勤務形態に分かれますが、特にシフト制で働くような職場の場合は平日に休むことが多くなるでしょう。また、管理栄養士の勤務先としては、病院、介護施設、保育所、学校、スポーツクラブ、食品会社などの一般企業が挙げられますが、それぞれの職場において休日のスケジュールはどのように違うのでしょうか。次に例を挙げて説明していきます。
例えば、病院や介護施設などの場合、患者もしくは利用者の方に対する食事の提供が365日あるケースも多く、朝から午後、昼から夜まで、夜から明け方までのような時間帯で区切り、2交代から3交代制によって、何人かのスタッフで交代しながら勤務することになりますので、土日・祝日に休みにあるとは限らず、平日の休みとなる可能性も高いでしょう。また、保育所や学校などの場合、対象となる生徒の休校となるため、土日、春休み、夏休み、年末年始などは休日となる職場が多いようです。そして、スポーツクラブのような職場になると、土日祝日に関係なく営業することもあり、且つシフト制や変則勤務で働くので、平日に休みを取るケースが多い状況です。このほか、食品会社などの一般企業の場合には、ほとんどが土日、夏季や年末年始などに休みを取ることができるでしょう。このように、職種によって休日のスケジュールは異なりますが、どの職場も全体的に栄養士の人員配置は少ない傾向にあり、過重労働になっているケースもあるようなので、仮に土日、祝日は休めても長期のまとまった休暇までは取りにくいのが現状と言えます。
政府による「働き方改革法案」の成立により、労働基準法の改正によって、年10日以上有給休暇の権利がある従業員について、平成31年4月から最低でも5日以上は有給休暇を現実に与えることが義務付けられるようになりました。
具体的には、有給休暇の消化日数が5日未満の従業員を対象として、企業側から該当する従業員に対して有給休暇の日を指定し、有給休暇を取得させる必要があります。有給休暇の日数は、労働基準法の定めの通り、正社員やフルタイムの契約社員の場合、出勤率が8割以上であることを条件とし、継続勤務年数が6カ月で10日間の有給休暇の権利が発生します。
その場合、有給休暇の消化日数が5日未満であれば、企業側で有給休暇取得日を指定する義務の対象となります。例えば、4月1日入社の正社員については、入社日から6か月経過後の10月1日を基準日として、毎年10月1日から9月30日までの1年間で、有給休暇を5日取得している必要があるということになります。これは、勤務時間が週30時間以上のパート社員についても同様です。
こうした動きもあって、従来のように「管理栄養士は職場に少ないので、有給があっても消化はしにくい」といった状況は今後改善されていくと予測ができます。
有給取得の条件 |
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・入社後6か月が経過している正社員またはフルタイムの契約社員 ・入社後6か月が経過している週30時間以上勤務のパート社員 ・入社後3年半以上経過している週4日出勤のパート社員 ・入社後5年半以上経過している週3日出勤のパート社員 |
厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査結果の概況」によると、全産業の平均では、労働者1人あたりの年次有給休暇の消化が9.3日で、労働者1人あたりの年間休日総数の取得は107.9日でした。管理栄養士の職場として該当する医療、福祉を確認してみると、年次有給休暇では8.9と少し低いものの、労働者1人年間休日総数は109.4で平均を上回っていましたので、管理栄養士と特定している訳ではありませんが、数字から休暇が極端に少ないといった状況は見られません。ちなみに、有給休暇と休日総数の取得状況を上位の職種を見ると、有給休暇は電気・ガス・熱供給・水道業が1位、休日総数は報通信業が1位でした。それぞれの上位5位までの職種の詳細は以下をご覧ください。
■労働者1人平均年次有給休暇に関する取得状況 |
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1.電気・ガス・熱供給・水道業/14.2 2.複合サービス事業/13.0 3.鉱業、採石業、砂利採取業/11.6 4.情報通信業/11.5 5.金融業、保険業/11.2 ※本件の取得とは、有給休暇の付与ではなく、有給休暇を消化(使用)した日数を表しています。 |
■労働者1人年間休日総数 |
1.情報通信業/118.8 2.学習研究、専門・技術サービス業/118.8 3.金融業、保険業/118.4 4.電気・ガス・熱供給・水道業/116.8 5.教育、学習支援業/112.7 ※医療、福祉/109.4 出典:厚生労働省「平成30年就労条件総合調査結果の概況」 |
最後に、実際に管理栄養士として働いている方は、勤務先の休暇の状況をどう見ているの紹介したいと思います。ヤフー知恵袋を調べてみると、管理栄養士の休暇に対することがコメントされていましたので、その内容の一部を取り上げたいと思います。