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栄養士や管理栄養士の需要は高まるばかり!就職先やキャリアップについて解説!

これから栄養士になる方などにとっては、「栄養士の需要や就職状況はどうなのだろう?」と素朴な疑問を持たれることもあるのではないでしょうか。結論から先にお伝えすると、現在の日本は高齢化や生活習慣病の増加などが社会問題として深刻化しており、これから栄養士の必要性は益々高まっていくのと同時に、各職場における専門性や関連機関との連携を深めることが求められるようになるでしょう。今回の記事では、栄養士の資格を取得した後、就職先にはどのようなところがあり、何が求められることになるのかなど、具体的に紹介していきたいと思います。

栄養士や管理栄養士は、どのような職場に多く配置されている?

厚生労働省や文部科学省の調査によると、現在の管理栄養士及び栄養士の職場の配置状況は、下記(表)のような状況であることが分かりました。この統計にある配置数から栄養士や管理栄養士のおよその需要は推定できますが、配置の比重が高い上位3職種としては、病院、介護保険施設、保育所の配置の比重が高いことが分かります。それぞれの上位3種の職場に絞り、どのような仕事をして、何を求められているのかなど、今後の見通しも含めて紹介していきましょう。

職種別の管理栄養士・栄養士の配置状況
病院 22,429人(管理栄養士)
4,586人(栄養士)
診療所 4,027人(管理栄養士)
2,004人(栄養士)
介護保険施設
(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)
11,448人(管理栄養士)
2,905人(栄養士)
学校 栄養教諭 6,092人
(管理栄養士・栄養士)
学校栄養職員 6,646人
(管理栄養士・栄養士)
社会福祉施設
(老人福祉施設、障害者支援施設、有料老人ホーム等)
5,955人
(管理栄養士・栄養士)
児童福祉施設
(乳児院、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援セン ター等)
1,909人
(管理栄養士・栄養士)
保育所
(保育所、幼保連携型認定こども園、保育所型認定こども園)
15,645人
(管理栄養士・栄養士)
事業所(給食施設) 1,937人(管理栄養士)
2,277人(栄養士)
行政 5,585人(管理栄養士)
872人(栄養士)

出典:以下の調査結果を参考にしています。
病院:平成28年病院報告(厚生労働省)
診療所:平成26年医療施設(静態)調査(厚生労働省)※3年周期
介護保険施設:平成28年介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)
学校(栄養教諭):平成29年度学校基本調査(文部科学省)、学校(学校栄養職員):平成27年学校給食実施状況等調査(文部科学省)
社会福祉施設、児童福祉施設、保育所:平成28年社会福祉施設等調査 (厚生労働省)事業所:平成28年度衛生行政報告例(厚生労働省)
行政:厚生労働省健康局健康課栄養指導室とりまとめ(平成29年6月時点)

病院の仕事内容や求められていること

病院における栄養士の仕事は、入院患者に合わせた食事を提供し、栄養の面から治療をサポートすることが必要です。入院患者の栄養管理については、医師の指示を基づいて栄養計画や献立を作成しますが、入院患者に合わせて、減塩食、低たんぱく食、流動食などを提供することになるため、食材管理から調理指導まで対応することが栄養士に求められるでしょう。
また、管理栄養士の場合であれば、患者に対する栄養指導を行うことが仕事に加わりますが、入院患者だけでなく、糖尿病や高血圧などの生活習慣病で通院している患者に対しても指導することになります。更には、入院患者に最良の栄養療法を提供するために多職種で構成された医療チーム(通称NST:Nutriton Support Team)のある病院であれば、医師、看護師、薬剤師、理学療法士などとともに、より高度な栄養管理を提供することも重要な活動になります。こうしたことに加え、病院を職場に選択するのであれば、高齢糖尿病患者の増加が大きな課題となっているので、管理栄養士が「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」を取得することも有効に働くでしょう。
今後、病院における栄養士の仕事は、栄養士も医学的知識を身につけ、医療スタッフと連携しながら活躍することが益々期待されると予測できます。

保育所の仕事内容や求められていること

保育所で子どもたちに提供する食事は、子どもの成長に合わせて献立を考えるだけでなく、厚生労働省の「食育基本法」を前提として作成された「保育所における食育に関する指針」(平成16年 厚生労働省)に保育の一環として「食育」にも力を入れる傾向にあります。また、最近は、食物アレルギーなど、特別な配慮が必要となる子どもの割合が増えており、
より専門性の高い知識や技術が求められ、栄養士だけではなく、管理栄養士の配置を希望する保育所も多くなってきました。

保育所における栄養士や管理栄養士の主な業務内容は、食事とおやつの献立作成をはじめ、予算管理、衛生管理、作業指示書作成、食育活動、厨房業務があれば調理や盛り付けなども挙げられます。このうち、調理については、大半のケースとして、保育園の職員である栄養士や調理師が担当していることも特徴の1つと言えるでしょう。こうした状況を踏まえると、保育所で更なる活躍を目指すなら、日本能力開発推進協会による「食育アドバイザー」や、国家資格の「調理師免許」なども取得しておくと有利に働くことが考えられます。

介護施設の仕事内容や求められていること

介護施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、サービス付き高齢者住宅、介護付有料老人ホーム、グループホームなど、入居者の介護度に応じて様々な種類があります。今後、介護施設の増加や多様化などに伴い、栄養士が活躍する機会も増えていくことでしょう。こうした介護施設では、入居者の要支援もしくは要介護などの介護度を考慮したうえで、飽きのこない献立を考えることのほか、美味しく、そして楽しく食事がとれるように工夫しなければなりません。
また、主に管理栄養士などが行う栄養管理における指導については、介護職員、看護師などから入居者の健康状態を把握するために情報交換も必要となるでしょう。自社で調理を行うような介護施設であれば、刻み食や柔菜食などの加工方法など、どのような状態で食事が提供されているか、現場をチェックすることも栄養士の役目となります。そして、栄養士も介護支援専門員(ケアマネージャー)の資格が取得できるようになりましたので、介護施設を職場に選択するなら介護支援専門員の資格を取得しておくと有利です。

栄養士・管理栄養士の資格の交付状況について

厚生労働省の調査によると、栄養士と管理栄養士の免許取得数(令和元年9月現在の最新の状況)は、栄養士の免許交付数が累計にして1,079,322(平成29年度現在)、管理栄養士の名簿登録数が234,196(平成30年現在)もの数に達していることが分かりました。調査を開始した年から現在までの免許交付数の平均を計算してみると、栄養士が約17,500、管理栄養士が約7,100になります。直近の過去5年間の推移で見てみると、栄養士及び管理栄養士の資格取得者数に大きな変化はなく、毎年一定数(平均値に近い数)の免許が交付されていることが分かりました。

栄養士と管理栄養士の免許交付の推移

栄養士免許交付数の推移
平成25年 1,003,915(累計)、18,567(免許交付数)
平成26年 1,023,005(累計)、19,090(免許交付数)
平成27年 1,041,605(累計)、18,600(免許交付数)
平成28年 1,060,771(累計)、19,166(免許交付数)
平成29年 1,079,322(累計)、18,551(免許交付数)
管理栄養士名簿登録数の推移
平成26年 194,445(累計)、10,216(免許交付数)
平成27年 205,267(累計)、10,822(免許交付数)
平成28年 213,7265(累計)、8,459(免許交付数)
平成29年 224,077(累計)、10,351(免許交付数)
平成30年 234,196(累計)、10,119(免許交付数)

出典:厚生労働省健康局健康課栄養指導室「栄養士免許交付数の推移」「管理栄養士名簿登録数の推移」

栄養士・管理栄養士の就職状況の傾向について

栄養士や管理栄養士の就職状況については、全国栄養士養成施設協会の調査「栄養士養成施設の卒業生の就職実態(全国栄養士養成施設協会の調査/平成29年度)」を確認すると分かりますが、栄養士の就職先は、病院24.3%、児童福祉施設18,9%、事業所18,3%、介護保険施設17,3%、その他22,0%(職種不明)の職種が上位の結果になっていました。
また、管理栄養士については、病院31.1%、その他22,0%(職種不明)、事業所15,1%、児童福祉施設18,9%、介護保険施設10,0%が比率の高い職種の順位です。現時点での就職状況をみると、栄養士や管理栄養士とに病院に勤務している割合がいずれも高い傾向にあることと、管理栄養士はその他22,0%(職種不明)が高く、この統計の分類には該当しない専門職種やフリーランスなどが考えられるでしょう。

大量調理が必要な職場では栄養士が調理を兼任する需要が高い?

前述したように、保育所では、栄養士や管理栄養士が大量の調理業務を対応することも珍しくありません。このほかにも、大量調理を行う可能性が高い職場として、給食センター、病院、福祉施設、社員食堂などが挙げられるでしょう。職場にもよりますが、調理師だけでは人手が足りず、栄養士や管理栄養士が大量調理を兼任するケースがあります。職場によっては、約1~2年の調理業務の経験をしてから栄養管理や献立作成業務に移るケースもあるようです。また、こうした大量調理を行う職場では、栄養士が献立を作成する上で、コスト、作業時間、食材管理なども考慮しなくてはなりません。今後も、大量調理が必要な職場では、栄養士が調理を兼任する需要が高まっていく可能性が考えられます。

栄養士として専門的な仕事をするためには資格も必要!

栄養士として更に専門性を高めて仕事するなら、例えば、栄養士の方は管理栄養士の資格を取得してみることや、管理栄養士であれば「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」「介護支援専門員(ケアマネージャー)」「公認スポーツ栄養士」などの資格を取得すると、栄養士として活躍できる場も広がるでしょう。最近、この中でも「公認スポーツ栄養士」は人気がある職業で、競技者などの栄養管理を行うスポーツ分野で専門性を高めることになり、スポーツ栄養学、栄養マネジメント、スポーツ医学、運動生理学などスポーツ栄養の知識が身につけて、オリンピックなどを目指しているアスリートをはじめ、スポーツに打ち込むジュニア層や、健康の保持・増進などを目的にした生涯スポーツを楽しむシニア層に至るまで、各競技のトレーニング拠点や広域スポーツセンターなどにおいて、スポーツ栄養学に基づいた栄養管理を行うことができるようになります。

栄養士や管理栄養士に対する需要や今後予測されること

栄養士や管理栄養士の需要は、高齢化が進むことによって、病気を未然に防ぐためにも適切な栄養指導が欠かせなくなり、病院や介護施設の利用の増加することになるので、栄養士の必要性が高まることは間違いないと言えるでしょう。しかし、栄養士の人員の配置数や求人数は、どの職場も全体的に少ない傾向にあるため、人気のある施設などの就職は、内定競争倍率が高くなりやすい傾向にあります。このため、病院、社会福祉施設、介護保険施設などの新しい施設が開業されれば、栄養士の求人数が増える可能性はあるものの、必ずしも採用枠が増えるとは限りません。また、高齢化や生活習慣病の増加などが進むにつれ、医療に関する専門知識や連携、各職場での専門性を高めることが栄養士に期待されることになるでしょう。

まとめ
栄養士や管理栄養士の就職は、職場によって採用人数も異なりますが、今後も全体的に内定競争倍率は高い傾向にあり、需要は拡大しながらも大きく変わることはないでしょう。これから栄養士として仕事をする方は、今のうちからキャリアビジョンをしっかりと描いておき、自身が目指す専門性を高めていくことが成功への近道に繋がります。今回の記事も参考にしていただきながら、貴方が希望する進路がどのようなものであるかによって、これから取り組むべきことを検討してみて下さい。