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”公認スポーツ栄養士”を取得してアスリートなどの栄養サポートに携わろう!

読者の皆さんは「公認スポーツ栄養士」といった資格があることをご存知でしょうか。公認スポーツ栄養士とは、アスリートなどの栄養や食事に関する自己管理能力を高めるための栄養教育や、食環境の整備などが行えるようになる資格です。今回の記事では、こうした公認スポーツ栄養士について、資格の取得方法や、資格の取得後にどのような働き方ができるのかなどを紹介したいと思います。

公認スポーツ栄養士を取得するとどんな仕事ができる?

公認スポーツ栄養士の資格を取得すると、オリンピックなどを目指しているアスリートをはじめ、スポーツに打ち込むジュニア層や、健康の保持・増進などを目的にした生涯スポーツを楽しむシニア層に至るまで、各競技のトレーニング拠点や広域スポーツセンターなどにおいて、スポーツ栄養学に基づいた栄養管理を行うことができるようになります。
ここではアスリートの栄養サポートを例に挙げてみますが、個々のアスリートの目標に合わせた栄養補給計画を立案し、目標や計画を達成するための集団教育や個別面談を行ったり、練習や試合の現場で指導したりする役目を担うことになるでしょう。また、団体競技となるスポーツの場合には、チームの目標の達成に向け、監督、コーチ、トレーナー、マネージャーとも連携し、練習や試合の様子を確認しながら、アスリートの喫食の状況を管理するなど、栄養全般のサポートを行う場合もあります。

公認スポーツ栄養士に関する資格の取得方法は?

公認スポーツ栄養士の資格の取得は、スポーツ選手の競技力の向上や生涯スポーツの普及を推進する「日本体育協会」と、管理栄養士・栄養士で組織する職能団体の「日本栄養士会」の共同認定が必要となり、共通科目受講、知識確認テスト、集合講習受講、課題レポートの提出などが要件となります。カリキュラムは、事前学習及び集合講習の共通科目が150 時間程度、集合講習および実技・実習、インターンシップなどの専門科目が約116.5 時間程度が目安となり、受講料として38,000 円(内訳/共通科目免除なし:20,000 円、専門科目:18,000 円)のほかに、専門科目の再試験の受験料に口頭試問が一回当たり15,000 円、プレゼンテーションが一回当たり30,000 円、教材費3,000 円(リファレンスブック代)などが別途となります。受講資格としては、受講申込み年度の 4 月 1 日現在満 22 歳以上の管理栄養士であること、スポーツ栄養指導の経験がある者または予定のある者のうち、主催者が認めた者とし、受講者は70 名以内までとすることが定められています。なお、公認スポーツ栄養士の資格は、資格登録後4年間の有効期間が定められており、資格を更新するためには、資格有効期限の6ヶ月前までに(10月1日登録の方は3月31日まで)以下に定める学術集会等に参加し、所定の単位を取得しなければなりません。

公認スポーツ栄養士に資格条件

・管理栄養士であること
・受講開始年度の4月1日時点で満22歳以上
・スポーツ栄養指導の経験がある者、または、予定がある者
出典:NPO 法人日本スポーツ栄養学会

カリキュラムと受講時間の目安

[共通科目Ⅲ]合計約152.5時間
共通科目Ⅰ
(約35時間)
文化としてのスポーツ、指導者の役割Ⅰ、トレーニング論Ⅰ、スポーツ指導者に必要な
医学的知識、スポーツと栄養、指導計画と安全管理、ジュニア期とスポーツ、地域に
おけるスポーツ振興
共通科目Ⅱ
(約35時間)
社会の中のスポーツ、スポーツと法、スポーツの心理Ⅰ、対象に合せたスポーツ指導
共通科目Ⅲ
(約82.5時間)
指導者の役割Ⅱ、アスリートの栄養・食事、スポーツの心理Ⅱ、身体のしくみと働き、
トレーニング論Ⅱ、競技者育成のための指導法、スポーツ指導者に必要な医学的知識Ⅱ
[専門科目]合計約116.5時
スポーツ栄養士に必要な基礎知識
(約16.5時間)
スポーツ栄養ベーシック講習会を受講(日本スポーツ栄養学会開催)
スポーツ栄養士の役割
(約2時間)
他分野から見た公認スポーツ栄養士の役割、スポーツ現場での公認スポーツ栄養士の役割
スポーツ栄養マネジメント
(約12.5時間)
スポーツ栄養マネジメントの理論 、栄養教育・行動科学、身体計測 理論、身体計測 演習(ISAK)、生理・生化学検査、臨床診査 理論、食事調査 理論、食事調査 演習、消費エネルギー量の算定 理論、消費エネルギー量の算定 演習
栄養補給
(約9時間)
エネルギー補給(糖質、脂質)、からだづくりとたんぱく質摂取、ビタミンとミネラル サプリメントとエルゴジェニックエイド、水分補給
スポーツ現場における食環境整備
(約3時間)
スポーツ現場における給食管理、種目別・目的別・多様性を考慮した給食管理の立案
目的・対象者別栄養管理
(約23時間)
エネルギー不足の理論(FAT含む)、エネルギー不足のケーススタディ(演習)、ウエイトコントロールの理論、ウエイトコントロールケーススタディ(演習)、貧血の栄養管理の理論、貧血の栄養管理のケーススタディ(演習)、試合前・中・後の栄養管理、遠征・合宿帯同に必要な基礎知識、ジュニアスポーツ選手の栄養管理(指導法)
スポーツ栄養士の役割
(約7.5時間)
アンチドーピング、内科的疾患(感染症、貧血、暑熱、アレルギーなど)、外科的疾患(リハビリ時)、障がい者スポーツ、ジェンダーを考慮したスポーツ障害
エビデンス
・ベースド
・ ニュートリション
(約3時間)
エビデンスの活用と公表の手順、プレゼンテーションスキル(約40時間)
インターンシップと成果発表 媒体作成、プレゼンテーション、栄養指導の実際、成果のまとめおよび発表

出典:NPO 法人日本スポーツ栄養学会「日本スポーツ協会公認スポーツ栄養士養成講習会の開催要項」

公認スポーツ栄養士を取得及び更新の流れ

公認スポーツ栄養士の資格を取得の流れとしては、下記の表にもまとめていますが、①申込書類の提出(受講希望者個人調書などを日本スポーツ栄養学会に提出)、②共通科目受講の修了(日本スポーツ協会の実施による知識確認テストへの合格、集合講習受講及び課題レポートの合格など)及び、専門科目の受講の修了(日本スポーツ栄養学会の実施による検定試験の合格)、③登録手続き④資格取得の順序となり、取得後には⑤更新手続きが必要となります。
出典:NPO 法人日本スポーツ栄養学会「2019年度日本スポーツ協会 公認ポーツ栄養士養成講習会 受講の手引き」

公認スポーツ栄養士の養成課程と更新の流れ

公認スポーツ栄養士を取得するメリットや仕事の魅力とは?

公認スポーツ栄養士は、栄養士の上級資格となる管理栄養士の資格を取得している方にとって、スポーツ栄養学、栄養マネジメント、スポーツ医学、運動生理学などスポーツ栄養の知識を身につけ、より一層の専門性を高めることができるため、栄養士の資格を活かしながらスポーツ分野に特化して仕事するつもりであるなら、取得することで該当する企業や各種団体などの採用や待遇面で有利に働くことになるでしょう。また、例えば、公認スポーツ栄養士の取得後、アスリートをサポートするような仕事に就くことができれば、自身が担当した選手が好成績を収めれば目に見えた成果を感じることができることや、コーチ、トレーナー、ドクターなどと連携しながら同じ目標に向かって仕事することになるので達成感も得られるので、やりがいを感じる魅力的な職場で活躍することも夢ではありません。実際に公認スポーツ栄養士を取得した方の意見を調べてみると、「資格取得したことで仕事の依頼が増えた」「選手、スタッフからの資格に対する信頼度が高いと感じた」「専門家として周りに認識されるために、話を受け入れてもらいやすくなった」「選手やスタッフと共通の言語で会話できるようになった」などの意見が挙げられていました。

公認スポーツ栄養士の資格を取得した後に働いた職場は?

日本スポーツ栄養学会によると、公認スポーツ栄養士登録数は、平成29年10月現在で253名いることが分かりました。同学会は、この253名に対して就職先を調べており、147名の有効回答から、上位の職場として、研究教育機関などの教育機関、病院・診療所、行政などに勤務したことを明らかにしています。ちなみに、前項で例に挙げたようなスポーツチームに就職した方は、全体では3.4%の方が存在し、栄養サポートをした競技として「陸上競技」「野球」「サッカー」「バスケットボール」「ラグビー」が挙げられていました。更に、公認スポーツ栄養士の資格を主に活かした仕事をしているどうかについても質問しており、77名(52.4%)の方が「資格を主に活かした仕事をしている」と回答していることも注目すべきポイントです。このような調査結果などを踏まえると、半数以上が資格を活かして仕事をしていることや、公認スポーツ栄養士の資格取得者の意見を見る限り、資格を取得することの優位性や、待遇面においても優遇されることが期待できそうですね。

公認スポーツ栄養士の勤務先ベスト5
・「研究教育機関(大学・短大・専門学校)」 36名(24.5%)
・「フリーランス」 24名(16.3%)
・「委託給食会社」 14名(9.5%)
・「病院・診療所」 13名(8.8%)
・「行政(都道府県・市町村、保健所・市町村保健センター)」 10名(6.8%)
まとめ
公式の発表ではありませんが、公認スポーツ栄養士の合格率は、一説によると約20%ぐらいだと言われています。公認スポーツ栄養士の資格は、やや難易度が高いかもしれませんが、スポーツ分野における栄養士の道が開けることや、栄養士としてのキャリアやスキルアップにも繋がりますので、ぜひチャレンジしておきたい資格の1つと言えるでしょう。