パワハラにお悩みの管理栄養士&栄養士必見!パワハラの実体験告白や対処法をご紹介 ―パワハラ度チェックつき―
管理栄養士・栄養士が抱える悩みの中でも“職場でのパワーハラスメント(パワハラ)”は、退職理由や体調不良の原因に繋がるほど深刻な悩みとして週刊誌などでも大きく取り上げられています。そこで今回の記事は“パワハラ”をテーマに、パワハラの定義を整理し、栄養士さんが実際に体験したパワハラついてご紹介したいと思います。
いま職場などで「これってパワハラなのかな?」と疑問に思っている方へのチェックリストやパワハラの対処法についても触れていますので、パワハラに大きな不安を抱えている方はぜひ最後までご覧ください。
職場におけるパワーハラスメント(パワハラ)とは?
実は、“パワハラ”という言葉は最近生まれた言葉ってご存知でしたか?以前までは「職場でのいじめ・嫌がらせ」として問題視されていました。しかし、各自治体労働局への相談件数が急増したため、2012年3月に厚生労働省がパワーハラスメント(英Power Harassment・略パワハラ)として“定義付け”を行ったのが始まりです。
職場のパワハラの定義 |
「職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性※1を背景に、業務の適正な範囲※2を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
(厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」より) |
※1 職場内での優位性について
パワハラは、一般的に上司から部下へのいじめ・嫌がらせを指していることが多いのですが、この定義における「優位性」という文言は、先輩後輩や同僚間、部下から上司に対しても行われる場合も含まれす。したがって、「職務上の地位」に限らず、人間関係や専門知識、経験などの「さまざまな優位性」を背景とする行為がパワハラに該当します。
管理栄養士・栄養士の職場においても、上司や施設長だけではなく、指示出しをする調理師など、専門知識を持った医師、看護師、保育士、介護士の方から精神的・身体的苦痛を与えられた場合や職場環境を悪化させる行為をされた場合にはパワハラとなります。
※2 業務の適正な範囲について
この「適正な範囲」が、一番のパワハラの基準となります。業務上の必要な指示や注意・指導が行われている場合には「適正範囲」となり、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当します。
よって、一概にすべての職場の「適正範囲」が共通するものではなく、各職場で何が業務の適正な範囲で、何が範囲外なのかを見極めることが必要になります。
例えば「大声を出すこと」は、土木現場などでは安全を促すことになりますが、オフィスなどの職場において大声は「怒鳴っている」と認識され、精神的苦痛を他者に与えていることになることもあります。
職場のパワーハラスメントの行為類型
では、具体的にどんな行為がパワハラとされるのでしょうか?そのことについて厚生労働省が6つに類型化しています。
※職場のパワハラのすべてを網羅するものではなく、これら以外が問題がないということではありません。
- ・身体的な攻撃(暴行・傷害)
- ・精神的な攻撃(脅迫・暴言・侮辱・名誉き損など)
- ・過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能な業務の強制、仕事の妨害)
- ・過小な要求(業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた「程度の低い仕事」を命じることや仕事を与えないこと)
- ・個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)
職場のパワハラの相談件数
これは、各自治体に厚生労働省が設置している総合労働相談コーナーに寄せられる「いじめや嫌がらせ」に関する相談件数の推移グラフです。
非常に残念なことに数値が右肩上がりであることが一目で分かります。今後もまだ増加する傾向であると予測されており、行政としてもパワハラへの警鐘を鳴らして予防・対策を広めることに力を入れています。
管理栄養士&栄養士のリアルなパワハラの体験告白
ここでパワハラに悩み苦しんでいる管理栄養士・栄養士の実際に体験されたパワハラをご紹介させていただきます。※栄養士転職ナビ調べ・2019
病院勤務・委託栄養士
「病院の直営の栄養士、いわゆる施設栄養士(二人)のパワハラが酷く、恐ろしくて仕方ありません。
ミスが多い私が悪いのはもちろん自覚してますが、物で叩かれたり、『馬鹿じゃないの?』『脳みそ使え』など罵声を浴びせられ、職場に行くのが怖くて怖くて毎日ビクビクしながら仕事をしています。
また、何かある事にこの施設栄養士二人に責め立てられています。どうしてこんなに言われるのか、正直私のミスではないのに理不尽な理由で怒られ、自分は何のためにわざわざ大学まで行き資格を取って、ここまで頑張ってきたのか毎日自問自答の日々です。
週休2日制の契約なのに働き出してから週1日しか休めず、何のやりがいも喜びも生み出せずに、辛くて苦しくて涙が止まりません。出勤してからも、吐き気が止まらず早退してしまうこともあり、精神的にも限界がきています。」
病院勤務・施設栄養士
「調理員の年配の方からのイジメ、パワハラに悩んでいます。
私は必要に応じて栄養士業務の事務に入ることもありますが、大半は調理現場で働いていますが、勤務歴の長い年配の調理員の方から『なぜこんなことも出来ないのか、ミスをするからそれに気をとられて疲れる』など私に聞こえるか聞こえないくらいの声で愚痴をこぼしています。謝っているのですが、私のミスに対して他の調理師さんにも同調を得るように話され、全員私のことを嫌っているように感じてしまいます。
また、発注業務を任されていないにも関わらず、管理栄養士さんが発注ミスをすると、それを確認していない私が悪いことになります。
調理師さんがお粥に火をつけ忘れたのも、私が気を取られていたからだと私のせい…。
さらには『分からないなら聞け』と言われたので聞くと『今更そんなこと聞くな』と言われ、酷い時は質問しても無視をされます。
過度にネガティブになっている私も悪いのですが『人の顔色を伺って仕事をするな。私たちが色々喋っていても聞いてる余裕なんてないはずだ。仕事しろ』と言われ、その後で『謙虚さがない』とも言われます。
しかし私なりに努力はしようと、皆さんとコミュニケーションをなるべくとろうとしました。ですが逆効果となり『私たちが新人の頃は喋る余裕なんてなかった』『会社は給料だしてるのだから仕事しろ!』」と、交流をはかることも出来ません。
『あなたは普通じゃない、家で料理なんかしないんだろ。やってる?嘘だね。やっていたらこんな切り方にならないでしょ。大体最近の若い人はメンタルが弱いからすぐやめていく』と、毎日毎日呪文のように言われ続き、心が折れそうです」
特別養護老人ホーム勤務 管理栄養士
「私は奨学金で大学院まで通い卒業しました。これまでに保育園と有料老人ホームで勤務した経験がありますが、どこもパワハラが酷く退職をしています。それが原因で現在はうつ病で以前と同じように働くことができません。
最初に就職した保育園では、新設だったんのですが『施設を建てた時の借金が1億円以上ある』との理由で毎月の給料から5000円程の寄付を強要され、休みの日にはフリーマーケットやお祭りに出品・出店までしてお金を作ることを強要されました。
さらに、3ヶ月間まるまる休み無しで職員会議は深夜にまでおよぶこともありました。もちろん残業代や休日手当もつかず「スキルアップの為の自主勉強」と片付けられるほど、施設長からのパワハラは酷いものでした。
次に転職した保育園では、前任者の方と仲が良かった保育士さんから、嫌がらせや根も葉もない噂を立てられ、精神的に追い詰められました。
もう保育園ではなく、別の施設にしようと次は介護施設へ転職しました。そこの有料老人ホームでは、以前に比べて人間関係も良く、やりがいを感じながら勤務していたのですが、施設長が途中で別の施設へ異動となったことで状況が一変しました。
新しい施設長から『栄養士は金喰い虫、施設のお荷物だ。本当は雇いたくない。』と罵倒から始まりました。そこの施設が交通が不便で、最寄駅から車で30分の山の中にある職場だったのでバイク通勤をしていたのですが、『男なんだから車を買って、女性職員を乗せて出勤しろ』と車を購入することを強要されました。
結局のところ車を買い、ガレージ代も支払いました。しかし金銭面の負担に耐え切れずなり、一度「簡単に車を買えと言いましたが、私の給料知っていますか?ガレージ借りるだけも月3万円かかりますが何の補助もありませんよね。実質、収入が減ったと感じています」と我慢できずに言ってしまってからはさらに暴言などがエスカレートしました。」
病院勤務・委託栄養士
「施設栄養士の元で、栄養士の仕事ではない雑用ばかりを毎日押し付けられています。さらに、トイレなどで席を外した隙に、ファイルや私が捨てたゴミをあさられ、貧乏ゆすりや無駄な咳払いなどの嫌がらせも受けています。委託会社なので立場が弱く、一向に改善されません。」
有料老人ホーム勤務・管理栄養士
「管理栄養士として有料老人ホームで勤務していますが、上司からの言葉のパワハラが酷い職場です。
上司から『あなたと仕事したくない』『あなた栄養士に向いてない』『あなたと話したくない』『あなたが嫌い』など人格否定される言葉を言われ続けました。
最初は『自分が悪い、もっと頑張らないと』と自分に言い聞かせて仕事をしてきましたが、ある日を境に体調が悪くなってから食欲がなくなってしまい、数カ月で体重が8キロ落ちてしまいました。また、不眠も続き、精神科へ受診に行ったところ、うつ病との診断結果が出てしまいました。
不安に心が押しつぶされそうになり、周りの友人などに相談して、これ以上悪化する前に退職をしようと決意して、退職届を上司に提出しましたが、受け取ってもらえず『運動すれば、食欲も出て寝れるわよ』と軽くあしらわれ、辞めさせてもらえません。」
保育園勤務・栄養士
「私は保育園の栄養士として、子ども達の給食をベテランの調理師のと二人で作っています。しかしそのもう1人の先輩であるベテラン調理師さんからパワハラを受けています。
園長や保育士さんの前では良い顔をするのですが、調理室に誰も居なくなった途端に態度が変わります。
私が質問をしても『は?』と素っ気なく、時間内にできない仕事を要求され押し付けられます。できない仕事なので『出来ないので教えて下さい』とお願いをするのですが、必ず4回お願いをしないと教えてくれません。
根は優しい方なのだと理解して、一生懸命頑張っているつもりですが、毎日毎日私のあら探しをされ、必ず怒られ罵られ、もう口癖が『すみません』になりました。1日50回は言っています。
また、正座をさせられて怒られたりと、精神的にも苦しくついに仕事中に過呼吸になりました。」
パワハラ度チェック!パワハラ受けている?パワハラをしてしまってる?
いざ、自分が強いられる環境や受けている対応がパワハラなのかと問われた時に、迷ってしまう方もいらっしゃるかと思います。
そこで是非パワハラを受けているかどうかの判断材料として下記のチェックリストを参考にしてみてください。
- ・「役立たず、お前なんかいてもいなくても同じだ」などと、無能扱いされた
- ・ちょっとした仕事のミスをとらえられ、「クビだ、明日から来なくていい」と言われた
- ・仕事を与えられず、継続的に無視された
- ・自分だけ過重なノルマを与えられた
- ・時間外の飲み会や趣味を強要された
- ・仕事が終わって帰ろうとすると「先に帰るのか」と繰り返しいわれた
- ・理由もなく「言うとおりにしろ」などと強制された
- ・「お前はノロマ」だと他人の前でののしられた
- ・「お前のせいで仕事が進まない」などと他社員の前で言われた
- ・飲み会で「酒も飲めないのか、歌もうたえないのか」と言われた
- ・「親の顔が見てみたい」などと、仕事に関係のない家族のことまで言われた
- ・暴力を振るわれた
- ・出身校など、学歴をバカにされた
- ・席が近くても、仕事のことは全てメールで、一切話しをしてくれない
- ・あいさつをしても無視される
該当するチェック項目が多い方は、パワハラを受けている可能性があります。繰り返し受けている場合、かなり深刻事態といえます。ぜひ、次項の「職場でのパワハラへ4つの対処方法」をご覧ください。
また、管理栄養士。栄養士の方は指示を出すことも多いでしょう。対応の仕方を間違えてしまうと、パワハラを起こしてしまっている可能性もあります。思い当たる方は、こちらもチェックしてみてください。
- ・立たせたままでよく説教をしたことがある
- ・人間性(性格等)を攻撃したことがある
- ・叱る際に、周囲の状況を気にしたことはない
- ・おとなしい人には、ついつい口うるさくなる
- ・暴力を振るったことがある
- ・周りが自分の顔色をうかがい、行動しているような気がする
- ・突然の休暇をちょくちょく取る人がいる
- ・今までに複数の人が辞めたことがある
- ・精神的な病気になった人がいる
- ・自分の意見に反論をする人はいない
- ・自分に反抗的な人がいる、または嫌いな人がいる
- ・意見を述べられるとむかつく
- ・若い人は、生意気だと思う
- ・出来の悪い人ばかりで、押し付けられている気がする
- ・職場の人の顔や、行動を見るにつれイライラしてくる
該当するチェック項目が多い方は、パワハラを起こす可能性ある心理状態です。
どうしても相性が悪い方とも働かなければならずイライラすることもありますよね。しかし、お互いに少しでも働きやすい環境にしていき、誰のために何のために働いているのかを考えていきましょう。
常に自分がしている言動に対して、相手がどのように感じているかをあなた自身が認識することが大切です。
職場でのパワハラへ4つの対処方法
パワハラを感じ始めた時点で、人間関係の改善を試みた管理栄養士・栄養士も多いことでしょう。
しかし自分の力だけでは限度があり、さらに人間関係が悪化させてしてしまうこともあります。一人で背負い込む前に、下記のようなパワハラの対処方法をとりましょう。
①記録をする
まずは、どんなことをされているのかを記録をしましょう。
記憶と言葉だけでは、会社も動けないことがあります。後々の事実確認にも必要となるなので、パワハラと思われる行為をを「いつ」「どこで」「誰が」「何をされた」かをメモや録音機などで記録を残しましょう。さらにこの作業で誰が味方なのか、誰に相談すれば良いかの糸口になります。
②信頼できる人へ相談する
パワハラにおける対処法として一番大切なことが、決して“一人で悩まないこと”です。一人で我慢し耐えても、解決にいたることは難しいでしょう。一人で悩まず、まずは同僚や上司など周りの人に相談をしましょう。周りの協力を得ることで、パワハラを行う本人が自らの行為に気づく場合もあります。
③人事・総務担当者など会社や施設の窓口へ相談する
上司に相談できない場合は、人事や総務部など会社や施設の相談窓口に相談しましょう。会社は、働きやすい環境を整えることを法律で義務付けられています。相談者が不利益にならないように、プライバシーの確保も配慮されています。
④社外のパワハラ相談窓口へ相談する
社内で相談窓口がない場合や社内では解決できない場合もあるかと思います。また、第三者の方が相談しやすいという方もいらっしゃるでしょう。ぜひ、下記の無料相談を受付ている行政機関などを活用しましょう。また、弁護士に相談することも法的に的確なアドバイスを頂けたり、パワハラが認められるという事実確認だけでも心の支えになります。
また、心身に影響が出てしまっている場合は、まずは「病院」に行くこともお勧めします。病院からの「診断書」は、パワハラの証拠にもなりますのできちんと貰い、保管しておきましょう。
まとめ
管理栄養士・栄養士の職場は、女性社会で専門性も高いことが災いして、知識や経験による優位な立場を利用してマウントを取るようにパワハラが横行しているケースも少なくありません。決して一人で悩まずに、まずは「相談」してみましょう。職場に相談できそうな人がいない場合は家族や友人でも構いません。
しかし実際に、パワハラについて相談するには相応の覚悟と勇気が必要ですよね。どうしても耐えられない様な場合は、思い詰めずに転職も視野に入れてみてはいかがでしょうか。新たな職場で、一から人間関係を築く苦労や不安もあるかと思いますが、心身を壊してしまう前に心機一転、働きやすい職場で楽しく働きましょう!