近年、健康志向の高まりや食育ブームもあり、「管理栄養士」に注目が集まっています。世間一般の方からすると”栄養士よりも専門性が高い資格”というイメージがあると思います。
まさにそのイメージ通り、管理栄養士になるには栄養士資格を取得した後に、国家試験を受けなければなりません。国家試験となるとハードルが高いように感じますが、実際の受験者数や合格率はどれくらいなのでしょうか?試験内容も含めて管理栄養士について解説していきたいと思います!
受験者数や合格率など気になることは多いですが、そもそも「管理栄養士」ってどういった資格なのでしょうか?
管理栄養士とは「栄養士法」に定められた国家資格になります。
法令で定められた基準を満たす施設に1人以上の管理栄養士の配置が義務づけられています。医療機関では「医療行為としての食事」を中心に行っていることから、管理栄養士が栄養サポートチームや実験実施医療機関で業務に携わることもあります。また、定められた診療報酬や介護報酬を申請できる専門的な業務を行える資格になります。
主な役割
①病気やけがをした人に対する療養を目的とした栄養指導
②個人の状態に応じた健康保持・増進の為の栄養指導(特定保健指導など)
③施設等で特定多数の人に対する給食管理や栄養指導
栄養士との違い | |
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◎栄養士 |
栄養学に基づいて、栄養バランスの取れた献立の作成や調理方法 の改善や、栄養面から健康な食生活のアドバイスを行う |
◎管理栄養士 |
栄養指導の為の企画や傷病者に対する療養のために必要な栄養の 指導や大規模給食施設などにおける管理業務や労務管理を行う |
管理栄養士の仕事内容がわかったところで、次は管理栄養士の勤務先についてご紹介したいと思います。
学校や病院などで働いているイメージが強いかもしれませんが、現在、管理栄養士は民間企業から行政までさまざまな職場での活躍が見込まれています。
管理栄養士になるには、栄養士資格を取得した後に国家資格試験を受験する必要があります。
しかし、受験する際にもいくつかの条件をクリアしておく必要がありますので確認しておきましょう。
管理栄養士の専門学校では、3種類の科目を4年間で学ぶことになります。
1年次は「基礎教養科目」を履修します。基礎教養科目では人文科学や社会科学、自然科学、外国語などを学びます。2、3年次になると「専門科目基礎科目」を中心に履修します。専門基礎科目では理化学生物学や人体の構造と機能、疾病の成り立ちについて学びます。4年次になると管理栄養士国家試験対策と臨地実習が始まります。臨地実習とは、「臨床栄養学」「公衆栄養学」「給食経営管理論」を実習先の施設で1~2週間ほど働きながら学びます。
実習先の施設は学ぶ内容によって異なります。「臨床栄養学」は、病院や介護老人保健施設等の医療提供施設で行います。「公衆栄養学」は保健所や保健センター等の施設で行い、「給食経営管理論」は事業所等の集団給食施設にて実習を行います。
管理栄養士の国家資格を取得するには、専門学校を卒業した後に受験しなければいけません。養成学校の中には社会人枠が設けられている学校もありますので、パンフレットや公式サイト等で自分に合った学校を選ぶことが大切です。また卒業後の進路や合格率、受験対策講座があるか、などの条件を比較した上で、自分に合った学校を選ぶと良いでしょう。
専門学校で4年間履修した後に、国家試験を受験します。(すでに栄養士の資格を取得している場合は、別条件あり)
試験は年に1回となっており、毎年3月頃に実施されています。試験日当日は午前と午後に分けられており、試験問題は、午前の部で105問、午後の部で95問、合計200問が出題されます。
平成29年度の受験者数は17,222人。合格率は管理栄養士養成課程(新卒)が95.8%、管理栄養士養成課程(既卒)が20.8%、栄養士養成課程(既卒)が19.2%という結果でした。栄養士養成課程から受験をする場合、定められた期間(1~3年)、学校や病院などの施設、食品の製造、栄養に関する行政機関等で働いた後でなければ、国家試験の受験資格が得られません。働きながら受験勉強をする既卒者の合格率がなかなか上がらない原因はこういったところにあるのかもしれません。
管理栄養士の試験は全科目がまんべんなく出題されるので、どこか一つだけできなくても”他の科目でカバーできればいい”というわけにはいきません。
科目単体で出題というよりも、その分野に関わってくるあらゆるものが総合的に出題されます。
例えば、「応用栄養学」で出題される問題と、「臨床栄養学」で出題される問題が類似していたり、「公衆栄養学」を理解していないと「給食経営管理論」の問題が解けないというように、基礎知識を正しく身につけた上で、全科目まんべんなく勉強しておかなければ、合格への道は非常に険しくなるでしょう。
過去問集も出版されているので、解けなかった問題の解答と解説をしっかりと読み、理解しておくことが重要です。